動画でカメラを選ぶとき、静止画とは見るところが変わります。画素数より記録形式、連写より発熱、ファインダーよりモニターの向きです。
この記事では、当サイトが収録している仕様から、用途別に候補を挙げます。数値はメーカーの公表値です。
結論
- ひとりで撮る(Vlog・自撮り)なら、軽さとモニターの向き。350〜500gのクラスで、画面が前を向く機種を選びます。
- あとから色を作り込むならLog撮影対応。Canon Log、N-Log、S-Log3、F-Log2、V-Logなど、各社が用意しています。
- 長時間回すなら発熱と記録時間。放熱構造を備えた機種か、外部給電に対応する機種が安全です。
- 4K/60pが撮れれば、当面は足ります。6Kや8Kは、切り出しや将来の余裕のためのものです。
動画で効く項目
| 項目 | 見るところ |
|---|---|
| 記録解像度 | 4K/60pがあるか。6K・8Kは切り出しや縦横の作り分けに効く |
| Log撮影 | 明暗の幅を残して記録できる。編集で色を作る前提の形式 |
| 記録時間・発熱 | 連続で何分回せるか。夏の屋外では差が出る |
| 手ブレ補正 | 歩きながら撮るならボディ内補正は必須に近い |
| AF | 顔・瞳を追い続けるか。ピントが行ったり来たりしないか |
| 音声 | マイク端子、ヘッドホン端子。内蔵マイクは風に弱い |
| モニター | バリアングル(横に開いて回る)なら自撮りができる |
ひとりで撮る(Vlog・自撮り)
ファインダーを省いて軽くし、そのぶん動画の使い勝手に振った機種があります。
| 機種 | センサー | 質量 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| VLOGCAM ZV-E10 II | APS-C | 377g | 設定を選ぶだけで映画風になるシネマティックVlog設定 |
| Z30 | APS-C | 405g | 1回で最長125分の連続記録、USB給電しながら撮影可 |
| X-M5 | APS-C | 355g | 現行Xシリーズで最軽量。フィルムシミュレーションダイヤル |
| EOS R50 | APS-C | 375g | 被写体を自動で検出する「自動」モード |
| LUMIX S9 | フルサイズ | 486g | 撮影しながらLUTを当てるリアルタイムLUT |
EOS R50 と ZV-E10 II の比較、Z50II と Z30 の比較も用意しています。
写真と動画を1台で(YouTube・作品づくり)
| 機種 | 動画の記録 | Log | 質量 |
|---|---|---|---|
| LUMIX S5M2 | 3:2の6K/30p | V-Log | 740g |
| Z6III | 12bit 6K RAW、5.4K ProRes 422 | N-Log | 760g |
| X-H2S | 6.2K(6240×4160) | F-Log2 | 660g |
| α7 IV | Super 35mmで4K/60p | S-Log3 | 658g |
| EOS R6 Mark III | 6960×4640まで | Canon Log 2/3 | 699g |
もっと軽くしたい場合、X-S20(491g)が同じ6.2Kの記録に対応し、撮影可能枚数は800枚と長持ちします。X-H2 と X-H2S の比較もあります。
この価格帯は、写真も動画も1台でこなす想定の機種です。Z6III と LUMIX S5M2、α7 V と LUMIX S5M2のように、動画性能で選ぶ人が多い組み合わせの比較ページもあります。
動画を主目的にする
| 機種 | 向く使い方 | 特徴 |
|---|---|---|
| LUMIX GH7 | 長回し、業務 | 4K/120p、32bitフロート録音、ARRI LogC3に対応 |
| LUMIX S1H | 映像制作 | 3:2の6K/24p、C4K/60p 10bit記録 |
| α7S III | 暗所、イベント | 画素数を1210万に抑え、高感度とダイナミックレンジを優先 |
| EOS R6 V | SNSの縦横展開 | センサー全体を使う3:2の7K/30pオープンゲート記録 |
| LUMIX S5M2X | 編集前提の撮影 | 外付けSSDへの記録、HDMIでの動画RAW出力 |
マイクロフォーサーズのGH7は、センサーが小さいぶんレンズも小さく、システム全体を軽くまとめられます。長時間の収録や、機材を持って動き回る現場では今も有力な選択肢です。
レンズはどう選ぶか
- フォーカスブリージングの少ないもの。ピントを動かしたときに画角が変わる現象です。最近のレンズは仕様として抑えたことを明記しています(SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sportsなど)。
- パワーズーム(電動ズーム)。手でリングを回すとカクつきます。E PZ 10-20mm F4 Gのような電動ズームなら、リモコンやアプリからも操作できます。
- インナーズーム。ズームしても全長が変わらないので、ジンバルのバランスを取り直さずに済みます。
- 開放F値が変わらないズーム。ズーム中に明るさが変わらないので、露出が動きません。
そのほか必要になるもの
- 外部マイク。内蔵マイクは操作音とレンズの駆動音を拾います。指向性マイクを1本足すだけで、音の印象が変わります。
- NDフィルター。晴天下で絞りを開けたままシャッター速度を1/50秒前後に保つために使います。可変NDが手軽です。
- 高速なメモリーカード。6K・10bit記録では、書き込みが追いつかないと録画が止まります。カメラの推奨速度を確認してください。
- 予備バッテリーか外部給電。動画は静止画よりはるかに電池を使います。USB-Cで給電しながら撮れる機種が便利です。
よくある質問
スマートフォンとの違いは何ですか
いちばん大きいのはボケと暗所です。センサーが大きいぶん背景を溶かせますし、暗い場所でノイズが出にくくなります。逆に、手持ちの手ブレ補正と手軽さはスマートフォンが上です。
Log撮影は必ず使うべきですか
編集で色を作る前提の形式です。撮ったままでは眠い(コントラストの低い)映像になるので、カラーグレーディングをしない人には向きません。まずは通常の設定で撮り、編集に慣れてから試すので十分です。
APS-Cとフルサイズ、どちらがいいですか
動画では差が小さくなります。4K動画が必要とする画素数はどちらも十分に満たしていて、違いはボケの大きさと暗所です。レンズを含めた重さと価格を考えると、APS-Cやマイクロフォーサーズのほうが合理的な場面も多くあります。
発熱で止まると聞きました
小型のボディで高解像度・高フレームレートを長く回すと、熱で停止することがあります。夏の屋外で長回しをするなら、放熱構造を備えた機種(LUMIX S5M2、GH7など)か、記録時間の上限が公表されている機種を選んでください。