カメラを選ぶとき最初に出てくる分かれ道が、センサーサイズです。「フルサイズがいい」と言われることが多いのですが、何がどう良くて、何を引き換えにするのかは意外と説明されません。
この記事では、当サイトが収録しているカメラの実寸から、違いを整理します。
結論
- 大きいセンサーほど、暗い場所に強く、背景をぼかしやすい。これが基本です。
- 小さいセンサーほど、機材が軽く安く、望遠が有利。こちらも見落とせません。
- センサーサイズより、レンズの明るさと撮る場所のほうが写真を左右します。APS-Cに明るい単焦点をつけたほうが、フルサイズに暗いズームをつけるより良く写る場面はいくらでもあります。
実際の大きさ
当サイトが取り込んだメーカー公表値では、次のようになっています。
| 呼び名 | おおよその寸法 | 面積比(フルサイズを1とする) | 焦点距離の換算 |
|---|---|---|---|
| 中判(ラージフォーマット) | 43.8×32.9mm | 約1.7倍 | 約0.79倍 |
| フルサイズ | 35.9×23.9mm 前後 | 1 | 1倍 |
| APS-C | 23.5×15.6mm 前後(キヤノンは22.3×14.9mm) | 約0.43倍 | 1.5倍(キヤノンは1.6倍) |
| マイクロフォーサーズ | 17.3×13mm | 約0.26倍 | 2倍 |
| 1型 | 13.3×8.8mm | 約0.14倍 | 約2.7倍 |
同じメーカーでも機種によって0.1mm単位で違います。当サイトの製品ページには、メーカーが公表している寸法をそのまま載せています。
換算倍率とは
センサーが小さいと、レンズが写す範囲の中心だけを使うことになります。そのため、同じレンズでも狭い範囲しか写りません。この「狭くなる度合い」が換算倍率です。
| レンズの表記 | フルサイズ | APS-C(1.5倍) | マイクロフォーサーズ(2倍) |
|---|---|---|---|
| 16mm | 16mm(超広角) | 24mm相当(広角) | 32mm相当(やや広角) |
| 35mm | 35mm(広角) | 52mm相当(標準) | 70mm相当(中望遠) |
| 50mm | 50mm(標準) | 75mm相当(中望遠) | 100mm相当(望遠) |
| 200mm | 200mm(望遠) | 300mm相当 | 400mm相当 |
| 600mm | 600mm(超望遠) | 900mm相当 | 1200mm相当 |
何が変わるのか
暗い場所での画質
センサーが大きいほど、1画素あたりが受け取る光の量を確保しやすくなります。結果として、同じISO感度で比べたときにノイズが少なくなります。おおまかに、フルサイズはAPS-Cより1段分、マイクロフォーサーズより2段分ほど有利と言われます。
ただしこれは「同じ世代のセンサー同士で、同じ画素数なら」の話です。新しいAPS-C機が古いフルサイズ機を上回ることもあります。
背景のボケ
同じ画角・同じ撮影距離で比べると、センサーが大きいほど背景は大きくぼけます。フルサイズのF2.8は、APS-Cでいえば約F1.8、マイクロフォーサーズでいえば約F1.4に相当するボケ量です。
逆に言えば、APS-CでF1.4のレンズを使えばフルサイズのF2相当のボケになります。ボケだけが目的なら、明るいレンズで埋められる差です。
機材の大きさと価格
これが最も分かりやすい差です。同じ画角・同じ明るさのレンズを作ると、センサーが大きいほどレンズも大きくなります。
| F2.8通しの標準ズーム | 質量 | |
|---|---|---|
| フルサイズ | FE 24-70mm F2.8 GM II | 695g |
| APS-C | SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | 290g |
質量で2.4倍の差があります。ボディを含めると、一日持ち歩いたときの疲れ方が変わります。
画素数との関係
センサーサイズと画素数は別の話です。APS-Cの4020万画素(X-T5など)もあれば、フルサイズの2400万画素(α7 IIIなど)もあります。画素が多いほど細部は残せますが、1画素あたりは小さくなるので、暗所では不利に働くことがあります。
どれを選ぶか
| こういう人 | 向くサイズ | 理由 |
|---|---|---|
| 室内で人物を撮ることが多い | フルサイズ | 暗さとボケの両方で有利 |
| 旅行や散歩に持ち歩きたい | APS-C | ボディもレンズも軽い |
| 野鳥・飛行機・スポーツ | APS-C または マイクロフォーサーズ | 同じレンズでより遠くが写る |
| 大きくプリントする、商業利用 | フルサイズ以上 | 階調と解像に余裕がある |
| 動画が中心 | どれでも | 4K動画が使う画素数はどれも足りている |
| 予算を抑えたい | APS-C | ボディとレンズの両方が安い |
よくある誤解
「フルサイズなら写真がうまくなる」
なりません。センサーが大きいと、ピントの合う範囲が狭くなるぶん、失敗写真はむしろ増えます。うまく撮れる確率を上げたいなら、明るいレンズと、撮る場所の光を選ぶほうが効きます。
「APS-Cは望遠に強いから、画質も得をする」
画角が狭くなるだけで、写る細かさが増えるわけではありません。フルサイズで撮って同じ範囲を切り出せば、ほぼ同じ結果になります(画素数が同等なら)。APS-Cの利点は、軽くて安いレンズで同じ画角に届くことです。
「センサーが大きいほど、常にきれいに写る」
明るい屋外では、差はほとんど出ません。スマートフォンの写真が十分きれいに見えるのと同じ理屈です。差が出るのは、暗い場所と、背景を大きくぼかしたい場面です。